妊娠中にビタミンAを過剰に摂取すると
よくないといわれていますが、
具体的にどのような影響があるのでしょうか?
また、一日の摂取上限はどれくらいなのでしょうか?
徹底的に調べてみました!
目次
妊婦のビタミンAの一日の摂取上限は?
まず、1日に摂取してもよいビタミンA量を
見ていきましょう。
妊婦の場合、1日の必要量は2000IU(600μg)とされています。
また、1日の上限は5000IU(1500μg)とされています。
※厚生労働省より
ここでいうビタミンAというのは、動物性のもの(レチノール)であって、
緑黄色野菜などに含まれるβカロテンは含まれません。
βカロテンは、摂取すると体内でビタミンAに変換されるのですが、
足りていれば、排出されますので気にする必要はありません。
⇒妊娠中にβカロテンを摂取しすぎるとどうなるの?
ビタミンAが不足するとどうなるの?
1日のビタミンA必要量は2000IUとされていますが、
不足するとどうなるのでしょうか?
ビタミンAは上皮・器官・臓器の成長や分化などに
関与しているため、万が一欠乏した場合、
胎児の発生異常が生じる可能性があります。
簡単に言うと、赤ちゃんの発育が悪くなったり、
早産したりする可能性があるということです。
母体への影響は、夜盲症(暗いところで物が見えにくくなる)に
なったり、食欲不振、角膜軟化症などを発症する恐れがあります。
参照:http://vitamine.jp/bita/bitaa03.html
といっても、ビタミンAは緑黄色野菜などのβカロテンからも
摂取できますので、通常の食事をしていれば、
気にする必要はありません。
ビタミンAを過剰摂取するとどうなるの?
ビタミンAを過剰摂取すると、
1日や2日程度過剰摂取(5000IU以上)
したところで、あまり気にする必要はないかと思いますが、
これが継続的に過剰摂取されると、
胎児に影響が出るといわれています。
アメリカの報告になるのですが、
1日に15000IU(4500μg)以上摂取し続けた妊婦は、
先天異常の乳児を出産する確率が3.5倍も高いと
報告されています。
特に、胎児の成長・分化が激しい妊娠初期(妊娠3か月以内)は
ビタミンAを摂りすぎないように注意する必要があります。
また、妊娠前の方も合わせて1日の上限である
5000IU未満を心掛けてください。
参照:厚生労働省、平成7年12月26日付健医健第117号通知
ビタミンA(レチノール)を多く含む食材は?
レチノールを多く含む食材(100gあたり)は、以下になります。
- 鶏肉(レバー) ⇒ 14000μg
- 豚肉(レバー) ⇒ 13000μg
- あんこう(肝) ⇒ 8300μg
- うなぎ(肝) ⇒ 4400μg
- うなぎのかば焼き ⇒ 1500μg
- ほたるいか ⇒ 1500μg
- ぎんだら ⇒ 1100μg
- 牛肉(レバー) ⇒ 1100μg
- あなご ⇒ 890μg
- あゆ ⇒ 480μg
- マーガリン ⇒ 1800μg
- フォアグラ ⇒ 1000μg
- バター ⇒ 500μg
- 卵の卵黄 ⇒ 470μg
- 生クリーム ⇒ 380μg
- プロセスチーズ ⇒ 240μg
- デニッシュパン ⇒ 430μg
⇒もっと詳細が知りたい人はこちら
ざっと並べるとこのようになります。
妊娠中のビタミンAの1日の上限が
1500μgなので、毎日レバーを食べ続けると
危ないということになります。
(※1回でもというわけではなく、あくまでも摂り続けた場合です)
・妊婦は葉酸をいつまで摂取すべき?妊娠中期以降も必要?
どんなことに気を付けたらいいの?
通常の食事で過剰摂取により
先天異常をきたすということはありませんが、
上記で説明したように、妊娠前~妊娠3か月にかけては、
緑黄色野菜などに含まれているβカロテンからの
摂取が良いでしょう。
レチノールをすべて断つというわけではなく、
楽しみ程度にレバーを少量食べたりうなぎを食べたり
というのは問題ありません。
むしろすべて断ってしまうことによるストレスの方が
問題になってきますので、毎日摂取しなければ、
特に問題はないかと思います。
気を付けなければいけないのは、
ビタミンA(レチノール)をサプリメントで
毎日摂取するということです。
サプリメントは毎日飲む上に
1回に3~4錠程度は飲むものが多く、
上限を超えてくるものも多いです。
サプリメントを飲んだうえに普通の食事からも
レチノールを摂取することになるので、
過剰摂取になりやすいです。
まとめ
ビタミンAは欠乏しても異常をきたしますし、
過剰摂取(継続して)しても異常をきたす
リスクが高まるので、
厚労省では、レチノールではなく
βカロテンをすすめています。
サプリメントで摂取しない限りは、
普通の食事をしていて、欠乏することはありませんし、
過剰摂取が続くということもあまりないかと思います。
とはいえ、大好きで毎日レバーや1日に卵を何個も
食べていると過剰摂取につながるので、
そういった食生活はされないように気を付けましょう。