妊娠中は鉄分が不足しがち。
なので、鉄分が多く含まれているレバーを
摂取すれば?と考えられるかもしれません。
たしかに、レバーには鉄分が
- 豚肉レバー ⇒ 13.0mg(100gあたりの含有量)
- 鶏肉レバー ⇒ 9.0mg
- 牛肉レバー ⇒ 4.0mg
と、多く含まれています。
鉄分の多いと言われている
ほうれん草は、0.9mgなので、
レバーには鉄分が多く含まれていることが
わかります。
ですが、妊娠中の方は、レバーで鉄分を
摂取しない方が良いと言われています。
なぜレバーを食べすぎてはいけないのか?
レバーには、鉄分の他にビタミンAも
豊富に含まれています。
緑黄色野菜にもビタミンAのもととなる
βカロテンは含まれていますが、
こちらは気にする必要はありません。
⇒妊娠中にβカロテンを摂取しすぎるとどうなるの?
問題となりうるのは
レバーなどの動物性食品に含まれている
ビタミンAは「レチノール」で、
これは体内に貯蓄されていきます。
ビタミンAを過剰に摂取すると
胎児への先天異常のリスクが
高まるといわれているため、
摂りすぎには注意が必要なのです。
特に妊娠前から妊娠初期(3か月)に
かけては、十分に注意するよう厚生労働省からも
言われていますので、
レバーの摂取は控えた方が良いのです。
⇒妊娠中ビタミンAを過剰摂取するとどうなる?不足するとどうなる?
Photo by (c)Tomo.Yun:http://www.yunphoto.net
具体的にどれくらいで上限に達してしまうのか?
1日の上限とされているビタミンAの摂取量は、
5000IU(1500μg)です。
数値だけではわかりにくいので、レバーでたとえると、
鶏レバーの場合は、100g中に14000μg含まれていますので、
10μgちょっとということになります。
レバーの串焼きでいうと1本30gだった場合
1/3本ということになります。
豚レバーの場合は、100g中に13000μg含まれていますので、
11.6μg程度ということになります。
1本30gの串焼きの場合、
やはり1/3本程度ということになります。
しかし、レバーの串焼きを1本(ビタミンA・4500μg)、
1日2日続けて食べたり、
1週間に1回程度食べたからと言って
どうにかなるというのは、
絶対とは言えませんが、
少々考えにくいかと思います。
というのも、アメリカの報告では、
ビタミンAを15000IU(4500μg)以上
摂取し続けた際に、リスクが3.5倍高くなる
ということなので、
これはおそらく毎日何週間にもわたって
摂取し続けた際のリスクかと思われますので、
妊娠中に1回や2回レバーを食べたからといって、
気にする方が体の毒です。
だからといって、
ちょくちょく食べてよいというわけではありません。
注意するに越したことはないでしょう。
・妊婦は葉酸をいつまで摂取すべき?妊娠中期以降も必要?
もう一つの問題点
レバーには鉄分やビタミンAの他に
葉酸(ビタミンBの一種)も豊富に含まれています。
通常妊娠前から妊娠中は摂取した方が
良い栄養なのですが、
摂取しすぎた場合妊婦の発熱や蕁麻疹、
赤ちゃんの小児ぜんそくのリスクが高まると
言われています。
1日の葉酸摂取の上限は、1mg(1000μg)以上
摂取すべきではないとされています。
ちなみに、レバーに含まれている葉酸は
以下のようになります。
- 鶏レバー ⇒ 1300μg(100g中の含有量)
- 牛レバー ⇒ 1000μg
- 豚レバー ⇒ 810μg
鶏レバーの串焼き30gだけで考えると
およそ3本程度となります。
ただし、葉酸の場合は食事中の生体利用率は
50%とされているので、さほど気にする必要は
ありません。
気にしなければならないのは、
葉酸のサプリメントと一緒に
含有量の多い食品を摂取し続けた場合です。
サプリメントの場合は、生体利用率は85%といわれています。
これに加えて、葉酸の多い食事を多くとっていると
過剰摂取となります。
食事は毎日葉酸の多いものを摂取するというのは
さほどないことかと思いますが、
サプリメントの場合は毎日摂取しますので、
気を付ける必要があります。※葉酸サプリメントを摂取しては
いけないというわけではありません。
まとめ
妊娠中は、ビタミンAも鉄分も葉酸も
どれも必要な栄養なのですが、
どの成分も過剰摂取し続けると
母体にも胎児にもリスクが出てきますので、
毎日食べるということはせずに、
ほどほどにしておいた方が良いでしょう。
なお、葉酸については
サプリメントと一緒に摂取し続けなければ、
食事中からの摂取は気にする必要はありませんし、
鉄分も食事からは積極的に摂っていきましょう。
サプリメントの場合は、医師に相談してください。
ビタミンAについては動物性(レチノール)ではなく
植物性(カロテン)の場合は気にする必要はありません。