妊娠中は食べてはいけない、あるいは食べ過ぎてはいけないと言われている
食べ物が多く存在しますが、クルミはどうなんでしょうか?
こちらでは、妊婦とクルミについて徹底的に紹介いたします。
目次
クルミは食べてもいいの?
結論から言うと、食べても問題ありません。
むしろ、αリノレン酸やリノール酸、ミネラルなどが豊富に含まれており
栄養価が高く、様々な効果も期待できますので、積極的に摂取していきたい食べ物です。
間食としてスナック菓子やケーキなどを食べるよりも健康的ですので、
おやつとして食べてみてはいかがでしょうか?
クルミにはこんな効果が期待できる!
くるみに多く含まれている栄養は、不飽和脂肪酸や食物繊維が挙げられますが、
その他、たんぱく質やビタミン、ミネラルといった栄養も多く含まれています。
これらの栄養が体にどう関わってくるのか見ていきましょう。
便秘解消効果
クルミには便秘解消や予防になると言われている
- 食物繊維
- 不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸など)
が、多く含まれています。
くるみ100g中に食物繊維は7.5g含まれており、食物繊維は便のカサを増す、腸の蠕動運動を活発にすることにより
スムーズに便が出やすい状態にしてくれます。
また、α-リノレン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が腸内の潤滑油となり
内容物をスムーズに移動してくれます。
免疫力を高める
α-リノレン酸やリノール酸は
体内でつくりだすことのできない必須脂肪酸と呼ばれるもので、
体内で免疫にどのような働きをしているかというと、
αリノレン酸は細胞を守っている細胞膜という組織の構成に関与しています。
αリノレン酸が不足すると、細胞が傷つきやすい状態になり免疫力の低下につながると言われています。
くるみにはαリノレン酸が多く含まれていますので、結果的に免疫力を高めると言えるかと思います。
また、アレルギーを予防してくれる効果も期待できるでしょう。
低体重出産の予防になる?
魚由来のn-3系脂肪酸が妊娠中に不足していると、
妊娠10~30週における魚(n‒3系脂肪酸)の摂取量と早産ならびに胎児の体重との
相関を調べた研究によると、魚介類由来のn‒3系脂肪酸摂取量が0. 146 g/日(魚 13. 4 g/日)以下
の妊婦は、早産あるいは低出生体重児出産のリスクが高いと報告している
引用:厚生労働省
とあります。
くるみに含まれているn-3系脂肪酸はαリノレン酸ですが、
α-リノレン酸からEPAやDHAに変換される割合は10-15%程度であり
引用:wikipedia
というように、αリノレン酸からDHAやEPAに10~15%の割合で変換されますので、
低出生体重児出産のリスクを軽減させることができると考えられます。
ただし、DHAなどに変換されるのが10~15%程度ですので、
青魚を食べた方が効率的ですので、あくまでも補助という目的で食べた方が良さそうです。
早産予防になる!?
自然早産の主な原因の1つとして、感染、炎症があります。
αリノレン酸などのオメガ3脂肪酸は炎症を抑える作用があり、たくさん摂取することで
早産の予防につながる可能性があると考えられています。
参照:MedicalFinder
高血圧予防
高血圧の原因の一つとして動脈硬化やドロドロの血液などがあります。
クルミにも含まれているαリノレン酸は、
α-リノレン酸には、がん細胞の増殖抑制、血圧の低下、血液の流れを良くするなどの作用があります。
引用:城山薬品株式会社
αリノレン酸は体内に入るとDHAやEPAに変換されます。
DHAやEPAは血液をサラサラにすることで動脈硬化や心筋梗塞を防いだり、脳の働きを高めるなどの効果があります。
引用:わかさ生活
というように、血液の流れをよくする(サラサラにする)効果が期待できます。
妊娠中は、妊娠高血圧症候群といって高血圧になりやすい時期でもあります。
妊娠高血圧症候群の原因は現在明らかにされておらず対策も、このようにすれば対策になると
認める方法は見つかっておりませんので一概には言えないのですが、食生活が気になるという場合は対策の一つとして減塩に心がけると同様、
n-3系脂肪酸を摂取するというのも、良いのかもしれません。
でも食べ過ぎには注意!!
いくら栄養があり様々な効果が期待できるからと言っても、食べ過ぎはよくありません。
胎児に何か影響が出るとは考えにくいですが、母体は過剰摂取が続くことによって
多少なりとも影響が出るかと思います。
太る可能性
くるみに含まれている不飽和脂肪酸という油は太りにくいと言われていますが、
摂取しすぎることによって太る可能性が出てきます。
クルミの7割は脂肪酸と言われており、カロリーもくるみ100gあたり674kcalもあります。
くるみが高カロリーなのは脂質が多いからで、炭水化物などが多くカロリーが高いのとは
異なり、そういった意味で太りにくいと言われていますが、
食べ過ぎることによって総カロリーは確実に上がりますので、
普段の食事とは別にくるみでたくさんのカロリーを摂取するような生活を続けていると、
太る可能性は出てきます。
下痢やおう吐を招く
くるみには、先にも述べたように食物繊維が豊富に含まれているため、
食物繊維の摂り過ぎにより腸の蠕動運動を活発にし過ぎてしまい、下痢を起こしたり
くるみには油が多く含まれていますので、食物繊維だけではなく油の摂り過ぎで消化不良となり下痢やおう吐などになる可能性もあります。
便秘になる
食物繊維は便秘解消になるのですが、摂取しすぎると食物繊維の性質上
水分を吸収するため、腸内の水分が足りなくなることにより逆に便秘になってしまうことがあります。
妊娠中は、便秘になりやすい時期でもあるため、食べ過ぎには注意したいですね。
胃もたれ・むかつきを起こす
脂質の摂り過ぎや食物繊維の摂り過ぎなどによって、
消化不良を起こすことがあります。特に胃が弱っているときなどは
消化不良による胃もたれやむかつきなどの症状が現れやすいかと思います。
アレルギーを起こしやすくなる!?
くるみには、αリノレン酸やリノール酸といった体外から摂り入れなければならない
必須脂肪酸と言われる栄養素が豊富に含まれているのですが、
その中のリノール酸(n-6系脂肪酸)は摂取しすぎると、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギーを引き起こす原因になると言われています。
※くるみ100gあたり、リノール酸41g含有
参照:リノール酸を多く含む食品ベスト50の成分表
n-6系脂肪酸については、体内で炎症を引き起こす要因となる化学物質に変化するため、十分なデータは示されてはいないものの、とりすぎた場合の安全性も危惧されており
引用:農林水産省
n-6系脂肪酸であるリノール酸は体内でアラキドン酸という代謝物を生成し、
この物質がアレルギー反応を起こすロイコトリエンという物質を作り出し、
またプロスタグランディンという炎症を起こす物質もつくりだされるそうです。
アレルギー反応を起こすのはロイコトリエンという物質。
ロイコトリエンは生体内のアラキドン酸(不飽和脂肪酸のひとつ)から作られ、アラキドン酸はリノール酸から作られる。
アラキドン酸からはプロスタグランディン (炎症を起こす物質)も作られる。
つまり、アラキドン酸はアレルギーと炎症を引き起こす。
引用:堂園メディカルハウス
リノール酸は必須脂肪酸ですが、大豆油やコーン油などの食物油が主な摂取源となっており、
食物油はスナック菓子やドレッシング、マヨネーズなど様々な食品に含まれており、
現代においては摂り過ぎる傾向にあるため、くるみの過剰摂取は控えた方が無難でしょう。
・妊婦は葉酸をいつまで摂取すべき?妊娠中期以降も必要?
クルミを食べる量はどのくらいが良いの?
くるみは栄養価が高く、必須脂肪酸なども多く含まれていますので、摂取はしていきたい半面
摂り過ぎた場合に、様々な影響があることがわかりました。
では、くるみはどのくらいの量食べていけばよいのでしょうか?
一般的なサイトを見てみるとおおむねくるみは1日に25g程度食べると良いと書かれています。
また、ロート製薬のサイトでも
くるみ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツの場合はそれぞれ25gが適量です。
となっていますので、適量は1日に25g程度で良いかと思います。
くるみ25gというとクルミの大きさにもよりますが、およそ7粒程度で片手の手のひらに乗るくらいの量が目安となります。
なぜ25gなのか?というと、1日に必要なn-3系脂肪酸(αリノレン酸など)を摂取できるからということのようです。
厚生労働省では、n-3系脂肪酸を1日に
- 15~17歳女性 1.7g
- 18~29歳女性 1.6g
- 30~49歳女性 1.6g
- 50~69歳女性 2.0g
- 妊婦 1.8g
- 授乳婦 1.8g
と定めていますので、くるみでいうと、25g程度が妥当ということです。
※くるみ100gあたりαリノレン酸9000mg含有(25gあたり2250mg)
参照:「αリノレン酸」を多く含む食品ベスト50の成分表
ただし、胃腸が弱っているときなどは、この量でも消化不良による下痢や吐き気などの症状が
出ることもあるかと思いますので、量の調節は必要でしょう。
また、くるみ25gのカロリーは168.5kcalありますので、
食生活によっては1日の総摂取カロリーにも注意を向けた方が良い場合もあるかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
妊娠中はくるみを食べることによって、様々な栄養が摂取できるだけでなく、普段摂りづらい必須脂肪酸を摂取することができ、
その効果も母体胎児ともに、良い効果が期待できることがわかりました。
ただし、食べ過ぎると悪影響も出てくるようなので、食べ過ぎにはくれぐれも注意してください。